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「若いからやっているのさ!」
照れ隠しに、わざとおどけて放った台詞だったが、
ものの見事に空振りに終わったことを、ジョウは痛感する。
……ごまかしは利かないってことか……
参ったぜ、全く
自分を一心に見つめ続けるマチュアの瞳は、限りなく透き通った湖のように、清らかな色を湛えていた。
己の浅はかな言い逃れを一切赦さないような、真摯な想いを宿した薄紫の瞳の前では、自分を偽ることなど、端から到底無理だったのだ。
観念したジョウは、子供じみた仕草で頭を二、三回無造作に掻きむしると、拗ねたように小さくボソッと呟いた。
「沼から上がろう。……ここにいたままじゃ、身体が冷えちまう」
言いながら、どことなく素直になっていく自分に気づいた。
心の奥底に閉まっていた気持ちが、マチュアの瞳に出会った瞬間から、落ち着く場所を求めて旅立とうとする気がした。
それはまだ、未だかつて誰にも吐露した事がない、ダンへの想いそのものであると、まだジョウは気付かずにいた。
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