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2003年5月7日 サイト初掲載作品
シュルッ・・・
固く結わえたマフラーの結び目を解いた瞬間に闘いという呪縛から解き放たれた全身が微かに震え出す。
漆黒の闇に向かって零れ出す溜め息に紛れて体中から絞り出される辛く、救いようのない心の枷は・・・深く息を吸い込む度に一つまた一つ溶け出しては時の狭間に吸い込まれていく
解いたマフラーを手で掴み上げながら、見上げる星空の向こうで、あの日・・・マフラーを結び付けた瞬間から凍結したままの時間が時の流れに逆らって緩やかに逆戻りしていく。
身体に染み付いた硝煙の匂い・・・
闘い続けなければならない運命(さだめ)・・・
貴い犠牲の元に築かれるしか手立てがない平和への矛盾・・・
それら全てを自分自身で受け止められないまま、足掻くだけの自分に押し寄せる心の迷い
闘い続けることでしか自分の存在意義を見出せなくなる日がいつか来るようで・・・
闘いに慣らされていく身体と心を止められなくなりそうで・・・
不安や恐れで塗り固められた心の闇が次第に僕自身を押しつぶしていく
どうすればいい?・・・このままじゃ僕は・・・
・・・教えてくれ!どうすればいい?!
投げ掛けた言葉の滴を包み込むように掬い取った月は・・・
黙ったまま僕の前に一筋の道を仄かに照らし出す。
僕は優しく微笑む月に向かって一回だけ頷いて、やがてその照らし出された道に一歩足を踏み出した。
力強く・・・確かな足取りで踏み出した道の行き先には・・・一体何が待っているのだろうか?
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