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コラム:アルフィンは何故ジョウに惚れたか?

2004年4月30日サイト初掲載

『アルフィンは何故ジョウに惚れたか?』

先ず初めに結論を述べます。
惚れるきっかけになったのはズバリ、

【名前を呼び捨てにされたから!】

と個人的に断定してます。

以下はあくまでも小説を読んで感じ取った視点より書いておりますので、ご承知おきくださいませ。

アルフィンが何故宇宙を漂流していて、ジョウ達に救出されたのかのいきさつについては原作に書いてありますので、ここでは省きます。

アルフィンがジョウ達に救出され、ミネルバ内で意識を取り戻したとき初めてジョウ達に出会います。
アルフィンにとってジョウ達の第一印象は最悪とまではいかないまでも、かなりショックを受けていたはずです。
『ならず者』として自分の意識下にインプットされているクラッシャーに救出された事実(後にそれは彼女自身の誤解だと気付きますが)は、必死の想いでピザンから逃れてきた彼女にさらなる精神的ダメージを負わせたはずですから。
しかし彼らと話をするうちに自分が風評でクラッシャーという仕事、またはそれに携わる人間を誤解していたのだと彼女は気付きます。

ここで彼女の中の意識にひとつ変化が起こったはずだと私は思います。

第一印象が最悪だったにもかかわらず付き合っていくうちにかなり出来る類の人間だと知って思い直す場合と、自分の中では最高(もしくはかなり評価が高い)と思っていたはずなのに実は自分の見込み違いだったと分かって落胆する場合では、どちらの方に自分の気持ちがより深く傾いていくかは一目瞭然です。
それに加えてアルフィンの場合は切迫した事情が絡んでいるので、ジョウ達に頼らざるを得ない事態が後々ジョウへの気持ちに無意識に拍車を掛けていたはずです。
人間困った問題に直面している場合は気持ちが落ち込みます。
自分の力ではどうしようもない事態に直面していればいるほど、自分の無力さをこれでもかという位に思い知らされます。
どうにかしなければならない時に何にも出来ない自分を知れば知るほど歯痒く口惜しい気持ちに埋め尽くされます。
そんなとき、自分の目の前に救いの手を差し出されたら迷わず縋りつきたくなるのも頷けます。
ましてや彼女は王女という地位にいて、周りからは常にチヤホヤされていた(本人は嫌がっていたと思いますが)ことは想像に難くないですし、また生まれ持ったプライドによって弱音を吐くことさえ自分の中では許していなかったであろうと推察します。
きっと彼女は身分は王女ではあっても、常々孤独感を感じていたのではないか?と考えます。
同年代の友人で心を割って話せる人物は近くには居なかったと思いますし(だから宮殿に抜け道を作ったのか?)接することが出来る相手は同じ王族内、もしくはそれなりの地位の高い年上の一握りの人間達に限られると思いますし、ましてや自分の意思で友人を作ろうと思っても、王女というバックボーンにビビッて敬遠されていたのではと考えます。
つまりは大変窮屈な宮殿生活の中で自分の身近な周りだけを気にして生きていた彼女にとってジョウ達に出逢ったことは、自分のちっぽけな根底意識を覆す事態になったことに付け加えて、周囲の目を気にせずに自由を享受できるという今までの自分の手に届かなかった幸せへの傾倒が重なったことであると。

そんな自分の前に現れたジョウが『王女』という身分で自分を見ずに、『一対一の人間同士』という目線(それを一番如実に表しているのが【名前を呼び捨てにした】ということに繋がります)で、自分の存在を捉えてくれたことが、きっととても嬉しかったのではないかと思います。
そういう想いの積み重ねがジョウに惚れていった理由ではないか?と自分は感じてます。

おそらくジョウ(他のメンバーも)も最初は『アルフィン王女』と敬称をつけて彼女を呼んでいたのだと思います。
どんなにガサツな連中(←失礼!)でも、そこら辺の常識は当然持ち合わせているはずですし。
思うに彼女の側から『私のことはアルフィン王女ではなく、アルフィンと呼んで下さい』とジョウ達に願ったのではないかと。
当然ジョウ達は戸惑ったはずですが、アルフィンの願いはジョウ達が思っている以上に強かったのでは?と思います。
ゆうなればクラッシャーチームは擬似家族みたいなものですから、アルフィンもそこに溶け込もうとしたらアルフィン王女なんて他人行儀みたいな呼ばれ方は嫌だと思いますし、自分のことを王女としてではなく普通の一人の人間(この場合擬似家族みたいなものですから、家族の一員と解釈したほうがいいかもしれません)として認めてもらえるのは、とてつもなく嬉しいことではないのかと思います。

孤独を感じ続けてきた人間ほど、自分が必要とされている人間であるかを初めて知った(感じた)ときに今までの自分の地位や行い、そして自分の中で築き上げてきた意識や感情を一切かなぐり捨ててまで仲間(もしくは好きな相手)についていこうと切望するのでは?と思います。
だから自分が信じた(惚れた)相手がちょっとでも自分の意図する方向から逸れる行動を見せた場合は必要以上に過剰に反応してしまうわけです。(大抵こういう場合は心配のし過ぎというオチになりますが)

裏を返せばアルフィンがあれだけヤキモチなのは上記のような理由で、そうならざるを得ない、至極当然な理由に行き着く訳です。

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