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絆、手繰り寄せて

久し振りに新作をUPしました。
某三姉妹のお話です。よろしかったらどうぞ

「おーねぇちゃん、いいの?このまま放っておいて。言い合いを始めてから、もうあっという間に3時間が経っちゃったよ!」

ナイトクイーンのコックピットに突っ伏して、心底呆れた表情のベスがブー垂れる。
ベスの斜め前方の席では、スクリーン上に映る金髪碧眸の美少女相手に応酬を繰り返す姉の姿があ
った。
時折ヒステリックに叫び返すルーの姿は、ベスの眸には何故か新鮮に映る。
黙っていれば、大抵の男は骨抜きになるほどの美貌、そしてスタイルを兼ね備えたルーは、ベスにと
って自慢の姉であった。
しかし未だかつて、このように誰かを相手に口論の応酬をし続けるルーを見た覚えは無かった。

「ちーねぇちゃんもよくやるよ、ホントに。あんなにムキにならなくても、ジョウよりもいい男はいっぱいい
〜っぱい、いるはずなのに。何でよりによってジョウなのよ;;;」

ボソッと吐き捨てるベスの言い方に、今まで黙っていたダーナが落ち着いた口調で妹に語り掛ける。
アラミスの本部に契約完了の書類を書き上げる為、手にしていた電子ファイルから一時も眼をそらさず
に話すダーナは、ベスの不貞腐れた一挙一動を目の当たりにしているかのように、一番小さい妹をそ
っと宥めすかす。

「放っておけばいいのよ、あの娘のことは」

「だっておーねぇちゃん、いくら何でもそれは無理だよ。ちーねぇちゃんに幾らかでの見込みがあれば
私だって、心から応援するけれど・・・どう見たって、駄目に決まってるよ。だって・・・」

口を尖らして反論を続けるベスの口調が、少しずつ尻すぼみになっていく。
妹が言うはずだった先の言葉を思い至って、ダーナの目元は少しだけ緩む。
と、同時に姉想いの優しい妹の気持ちに、いつしかシンクロしていく己の想いが遣る瀬なくなる。


ルーの想いを遂げさせたいと思う反面、最初から判りきっている筈の答えに、敢えて玉砕覚悟で挑む妹を、これ以上苦しまないうちに何とか想い留ませたいと願うのも、また真実。


正反対の想いが交錯する中で、ダーナの眸に映ったモノ。

ルーがこれほどまでに他人(ひと)に対して、真剣に向き合っているという事実の前で、ダーナの想い
はいつしか一つに収束していった。


「例え傷つくと判っていても、あの娘のやりたいようにやらせてあげたいと・・・私は思う」


清らかな水面を滑る風のように、穏やかな響きがベスの耳朶を優しく打つ。
しかし、ここで姉の言い分を正当に受け容れる、聞き分けのいい妹であるはずもなく。
生まれながらにしてのクラッシャーという、意地とプライドがダーナに向けて解き放たれる。

「おーねぇちゃんは、本当にそれでいいの?私は全然納得出来ないよ。負け戦と最初っから判ってい
ても、おーねぇちゃんはちーねぇちゃんを応援し続けるの?私はちーねぇちゃんが哀しむ顔は見たくないよ。それならまだ傷が浅いうちに諦めさせた方が・・・」

だんだんと掠れ声になっていくベスの眸に、透明な雫が溢れ出しはじめる。
姉を想うあまり、ルーの本意とは逆の感情に埋め尽くされたベスの穢れなき泪に、ダーナはしばし声
を失う。

・・・しかし、ルーの本気を垣間見た時から、ダーナはルーの眼に見えない変化を感じ取っていた。
姉として、そしてまたチームリーダーとして、一番長く妹達を見守り続けてきた彼女だからこそ判る感
覚が、ダーナの直感を後押しした。
それは絶対的に揺ぎない、確たる真実でもあった。


「ベス。ルーは今、本当に自分自身真っ向から向き合える、真剣な想いとライバルに出会えたの。今
までのルーは、黙っていても周りからチヤホヤされるばかりで、本当の自分とは向き合えずにいた
の。でもジョウとアルフィンと出逢った事で、あの娘の中の『何か』が変わった。具体的な事は判らないけれど、確実にあの娘の本意に訴えかけた『何か』があった。私はそれに全身全霊で立ち向かってい
くルーを見届けたい。例えあの娘がどんなに傷つき哀しもうと、正真正銘初めてあの娘が本気を出し
て、人に向き合っている姿をこの眼でしっかりと見届けたいの」


低く、熱の篭った言葉がダーナの口元から零れ落ちる。
今まで一番下の妹として姉の立場から自分を見守っていたダーナが、一人の女性そしてチームメイト
としての同等の立場から語り掛けてきた姉の姿に、べスの心の中でダーナへの想いが共鳴した。

「・・・おーねぇちゃん、分かった。私もおーねぇちゃんと同じように大きな広い心でちーねぇちゃんの恋
を見守っていきたいと想う。おーねぇちゃんのように上手く出来ないけど」

泣き笑いの表情で甘えて話し掛ける、末の妹の頭をダーナは二度、三度優しく手で撫でた。
その姿はチームリーダーとしての姉のイメージを一蹴して、優しい母親の面影にどこか似ていると・・・
べスは想った。

「大丈夫よ、べス。だって私たちは誰よりも強い絆で繋がった、地獄の三姉妹だもの!」


二人が見つめる視線の先には、凛とした姿で立ち向かうルーの姿があった。

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