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2004年5月23日サイト初掲載作品
「ジョウ!あなたが好きだったわ!」
言いながら零れ落ちる涙の感覚が化け物である自分との激しいギャップをまざまざと見せ付けているようで、目の前でライフルを構えている彼の表情が一瞬険しくなる。
・・・そう。
・・・そうよね。
こんな化け物の私から愛を告げられても結果は分かってるわ。
それは誰よりも一番、私自身が分かっていることですもの・・・。
でも言わずにはおれなかった・・・。
貴方に自分の気持を告げずにこのまま化け物の私として死ぬのは・・・嫌なのよ、ジョウ!!!
貴方に殺されるならそれは私の本望だと今、気付いたから・・・。
だから今は、せめて化け物としての私ではなく・・・
クラッシャージョウ、貴方を心から愛する人間の女ウーラ・・・で、いさせて・・・!
「愛しているのよ、ジョウ!」
叫んだと同時に感じた突き抜けた痛みが私自身が紛れもない化け物であるという事実に拍車を掛ける。
他でもない、愛するジョウ・・・
貴方自身から突きつけられた答えに・・・
僅かに残っていた人間としての心が救いを求めて貴方に追い縋ろうとする。
「撃ったわね、ジョウ・・・。あたしを撃ったわね・・・」
放心状態で言葉が出ないジョウの眸が私を捉える。
ねぇ、ジョウ・・・。
今、貴方が見つめている私は・・・化け物としての私・・・!?
・・・それとも・・・人間だった頃の・・・私!?
・・・教えてちょうだい。
貴方の言葉で・・・私に・・・!!!
僅かに歪む貴方の顔が何かを言いよどんでいるかのように押し黙ったまま動けなくなる。
困惑しているような貴方の顔を見て、今は・・・今だけは私のことを考えてくれているのだと分かって・・・本当は嬉しいのよ、ジョウ。
意地が悪いって分かってる・・・。
貴方を困らせているって分かってる・・・。
でも、これが最初で最後の我がままだから・・・せめて今は・・・夢を見させて。
お願いだから・・・!
「あたしが化け物だから撃ったと言って・・・」
貴方の言葉で私に止めを刺して・・・。
愛しているから・・・貴方を心から愛している馬鹿な女の願いを・・・聞き届けて欲しいの。
お願いよ!ジョウ!!!
「お・・・前が化け物・・・だから・・・撃った・・・」
涙に霞む眸の奥で、貴方の顔が僅かに歪んでいく。
これは私の意識が遠くなってきたから・・・そう見えるの?
ううん、違う・・・。
ジョウ・・・今は・・・今だけは・・・
私のことを人間の女として見てくれていると・・・
自惚れていいわね?・・・自惚れてしまっても・・・いいわよね?
こんなカタチでしか・・・愛を伝えられないのは口惜しいけれど・・・
でも貴方の心に・・・たとえ僅かでも私を残せるのであれば・・・
・・・残せるのであれば・・・
私は、もう・・・このまま・・・
「ジョウ・・・やさしいジョウ。そのやさしさが、とても好きだったわ・・・」
貴方の腕の中で・・・
貴方の眸に今、映っている私は・・・人間の女としてのウーラだと・・・
信じていたい・・・の。
そう思っても・・・いい・・・わよね?
いい・・・わよね?・・・ジョウ・・・!
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