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ジョウを巡る女性たち〜ウーラ篇〜

2003年11月27日サイト初掲載作品

今回は『ジョウを巡る女性たち』と題してコラムを展開いたします。

第一回目はウーラについて語ってみたいと思います。
文章中にかなり思い込みが激しい部分があるかと思いますが、さらっと受け流していただければ幸いです。

1.ジョウに愛を告白した女性(ひと)・・・ウーラ

一番初めに6巻を手に入れて読み終えた瞬間、『ウーラ』の存在は許し難いものでした。
ただでさえジョウに色目を使い(←彼女のファンの方、すみません。何分、読んでいた当時は中学生だったので一方的な思い入れが激しすぎたのです)
アルフィンを哀しませる元凶として、私の心にインプットされたのでした。
しかしあれから大分年月が過ぎ、当時は許しがたい存在にしか思えなかった彼女が、今ではとても脆くて繊細な人のように思えるようになりました。

最終的な決断は彼女が下したのだけれど、テュポーンになるいきさつでは彼女自身の意志というよりも敬愛する(おそらく彼女はマハリック博士をその当時愛していたのでしょう。そうでなければ彼の要求を受け容れるはずは無かったと思いますから)博士の要請に応じる形でテュポーンとなりました。
そこで開発が止まっていれば彼女自身もあんな悲しい結末を迎えることはなかったのだと思いますが、自分の想いに反して知性のないテュポーンをどんどん製造されていく現実に彼女の心は凍りついていったのだと思います。
好きだった男がどんどんと道を踏み外していくのを止めることさえできず、彼女自身も次第に愛から憎悪へと感情が増幅していったのだと思います。
研究者でもあったウーラはきっと人間関係があまり上手い人ではなかったように私には思えるんですね。
研究室という閉ざされた場所で限られた人間としか付き合うことが出来なかった彼女は、きっと人に甘えるということが出来なかったのではないかと思います。
また優しい気持ちで自分を思い遣ってくれるという人にも出逢えてはいなかったのだと。

そんな彼女は上からの思惑でジョウ達のチームに自分を偽って潜入することになります。
そこで彼女はジョウと運命的な出会いをします。
ジョウは彼女が今まで付き合ってきた人間とは全く異なるタイプの人間だったはずで、彼女も最初はどう対応したらいいか分からなかったんじゃないかと思います。
自分の思惑や利益だけを尊重し、それのみに埋没して理性を失っていく人間を見続けてきた彼女にとって、ジョウのように真っ直ぐで穢れない気高い意識の持ち主(多少クラッシャーという仕事上、お金にはシビアな所もあるのかもしれませんが)で、かつ自分のことよりもまず仲間を大切にする心意気に彼女は惹かれたのだと思います。

そんな彼女が最期に選んだ結末は哀しくもあり、反面ジョウへの心からの想いを遂げることができたことで彼女自身最期の最期に心が救われたんだと思います。
おそらく彼女はテュポーンとしての能力(対殺傷用として)を初めて使ったのが、あのアルフィンを後ろから羽交い絞めにするシーンだったのではないか?と思います。
自分が人間を捨てて『人という姿をした獣』に姿を変えたその瞬間に、自らの命を終えようと彼女はジョウに会う以前から決意していたように私には思えるんです。

もしもっと早くジョウと逢うことが出来ていたのなら・・・
もしテュポーンではなく、人間のままでいられたのなら・・・

彼女自身壮絶な葛藤の中で、苦しみながら選んだ選択は愛するジョウの手によって最期を迎えることに辿り着いたのでしょう。

結果としてわざとジョウに撃たれたウーラは彼の腕の中で静かに息を引き取ります。
ジョウの心の奥深くに微かな傷跡を遺して・・・。
ジョウは自分を撃ったことを生涯決して忘れることは出来ないはずだと彼女は無意識のうちに知っていたようにも思います。
愛する人の心にああいうカタチでしか自分の面影を遺せる事しかないと分かっていたから・・・
彼女は敢えてジョウに撃たれて息絶えることを望んだのかもしれないと・・・
今になってウーラの哀しく切ない思いに気付き始めた私です。

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