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認識への序曲

Web拍手御礼用SS 第二弾です。

原作第六巻でのジョウとアルフィンの再開シーンをモチーフにしました。

「ジョウッ!」

聞き慣れた声がジョウの耳朶を打つ。
ずっと心の中で蔓延っていた不安と恐れが音を立てて一斉に霧散していく。
途端に、安心という名の感情が全身を駆け巡り、冷え切った身体が神経の末端から徐々に温まっていく感覚に包まれていった。
先程まで身体を痛めつけていた冷たい雨の雫が、今は優しく感じる程、ジョウの内部から歓びに満ち溢れた想いが外へ向け一気に放散されていく。

無事でいてくれたという安心感を遥かに凌駕していく、ある感情がジョウの胸の内を埋め尽くしていく。

激しい雨に打たれても物ともせずに、必死に自分に向け手をしきりに振るアルフィンの姿を目にしたとき、その感情は最高潮に達した。

「アルフィンッ!」

ジョウの短い叫びが宙を突き抜ける。
アルフィンに向け、力強く手を振り返すジョウの全身にかつてない程の生気が漲っていた。

ジョウとアルフィン。
ふたりの目に映るものは、たった一つ。
無事だった互いの姿を認める事以外、今この瞬間だけは、他の何物も映りこむ余地さえ赦そうとしなかった。

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