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島さんとテレサ Part3

コラム 3回目

ヤマト2で一番感動した回は第16話です。
何回も何回もビデオを巻き戻しながら、この話を見ています。
そしてビデオを見て気づいたのは『テレサの涙』についてです。
今回のコラムは『テレサの涙』の理由について取り上げました。

テレサを思い出すときに浮かんでくるシーンのイメージは祈っているシーンと
そして涙を流しながら「島さん・・・」と名前を呼ぶシーンなのですが、
テレサは島さんの前ではたった一回しか涙を見せていないことに気づきました。
以下はそのシーンを再現したものです。

**********

「テレサ・・・貴方をたったひとりこのテレザートに残してくらいなら・・・僕は・・・
僕はむしろ・・・ここに残りたい!」
「島さん・・・!」
「テレサ・・・テレサ・・・僕は・・・どうしたらいいんだ?!」

島が激しく葛藤し、苦悩の末から思わず飛び出した言葉を聞いた瞬間、ハッと眼を見開いて

「島さん!!!」

島の胸に飛び込んでいく。テレサの行動に驚きながらもテレサを抱きとめる島。
転がったヘルメットから島を呼ぶ古代の声。

「島!どうした?!10分後には出航だぞ!島っ!・・・島っっ!!」

眼を瞑ってテレサの髪に二三度頬を擦り付けながら抱きしめている島。
ヘルメットからは依然として島を呼ぶ切迫した古代の声が聞こえてくる。

「帰れ、島!ヤマトにはお前が必要なんだ!」

閉じた瞳から涙を流しつつ、島の胸の中で古代の声を聞いているテレサ。

「島っ!聞こえないのか?!」

古代のその言葉を訊いて何かに耐えるように震えながら一瞬だけ瞳を開いたテレサは更に強く島の胸に縋り付く。
そして何かを決意したように少し間をおいて島から体を離すテレサ。
その瞳には涙が浮かんでいなかった。
島がテレサを不思議そうに見つめる。

「・・・ヤマトが貴方を待っています・・・帰らなくては・・・」
「テレサ・・・」
「・・・私も行きます」
「えっ・・・?!」

テレサの顔を見つめるテレサ。島の顔を見上げながら何かを決意したように微かに微笑むテレサの瞳から
涙が一筋、二筋溢れ出す。

「!・・・テレサ・・・」

***********

テレサはヘルメットから流れてくる古代の声を聞きながら、島さんに気づかれないように涙を流しています。
島さんがヤマトにとって必要な人間であること、そして地球にとっても必要であることはテレサも充分承知していたはずです。
承知しているからこそ、古代の必死の訴えを聞きながら涙を流していたのでしょう。

・・・離れたくない、ずっとこのままでいたいと想う気持は頂点に達していたはずです。
彼女は古代の声を聞きながら瞳を震わせて必死に何かに耐えている表情をしています。
このとき、彼女は決意したのだと思います。

島さんにとって一番何が必要であるのかを。

だから次の瞬間、島さんの胸に更に強く縋り付いて自分の想いを閉じ込めていったのでしょう。
そこで彼女は懸命に涙を流すことを堪えたのだと思います。
誰よりも愛する島さんの為に・・・島さんの為に自分が出来る、ただ一つの事を胸に秘めて・・・。

しばらく経ってからテレサはそっと島さんの胸から身体を離します。
上目遣いに島さんを見上げるテレサの瞳には涙の跡はありませんでした。
そして彼女は島さんに話しかけます。

「・・・ヤマトが貴方を待っています・・・帰らなくては・・・」
「・・・私も行きます」

この言葉を島さんに対して言った後、島さんの前で彼女はただ一回だけの涙を流します。
瞳から緩やかに零れていく涙に込められたテレサの想いは何よりも清らかで、何よりも美しいものに思います。
彼女は決して自分の運命に対して涙を流したのではなく、ただ『島さんを想う純粋な気持』のみで流した涙なのだと私は思っています。

『島さんを愛している』・・・テレサのひたむきで一途な想いが目に見える『カタチ』になった瞬間でした。

これほどまでに切なく、これほどまでに清らかな『涙』の意味に気づいたとき・・・
もっともっとテレサを好きになっていく自分に気づきました。

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