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問い掛け

久し振りに島さんとテレサの超短編を綴りました。
いつもと同様に意味不明なお話ですが(汗)、よろしかったらどうぞ

★更新停滞期間中に、ボタンを押して下さった皆様方、本当にありがとうございました!★

雲間から差し込んだ光が雨で煙った街を少しずつ照らし出す。
まだ幾分、霧雨の名残が街中に残ってはいるが、緩やかに溶け合っていく雨粒と光の柔らかさは、今、この瞬間にしか感じられない貴重な現象だった。
閉め切っていた窓を僅かに開け放って、雨に濡れた外の景色を食い入るように見つめる君の眸が煌きを増す。
放っておけば、今すぐにでも飛び出していきそうな君の気配を感じて、背後からそっと声を掛ける。


「何か楽しいことが見つかったのかい?」


降り続いていた雨が止む寸前の、あの何ともいえない、まったりとした時間と澄み切った空気を肌で感じつつ、君の隣りに佇んだ。

「雨が降った後の緑を見ていると、いつもよりも凄く生き生きと新鮮に感じて、何だか嬉しくなってしまうんです。まるで緑の方がこっちに近づいて来てくれるようで、それがとても嬉しくて」

頬にそっと手を寄せて、目元を潤ませながら呟く君の表情がいつになく純真で、僅かに心臓の鼓動が跳ね上がる。
こんな表情を浮かべながら話す君は滅多に無いことで、彼女が本心から歓んでいるのを感じ取りながら、俺の心も次第に彼女の気持へと同調していく。
共鳴していく想いに嘘は無い。
君を愛しいと想う、ただそれだけの気持が心の隅々まで余す所なく満たしていく。

些細な幸せの積み重ねが、もしカタチあるものに変化していくとしたら、まさにこの状況そのものであるに違いない。
物質的な悦びよりも、もっと大切な精神的な繋がりを感じた瞬間、本当の幸せの意味が心の奥深くに刻み込まれたのに気付いた。


「・・・・・・私、普通の人と想うことがちょっと違うのかもしれません。可笑しいですよね、こんな事で訳もなく嬉しくなってしまうなんて」


少しトーンダウンした声音に気付いて君をそっと見遣ると、どことなく不安な色を浮かべた眸が揺れていた。
そんな君の頼り無げな佇まいを認識した瞬間、言葉よりも先に動いた身体が華奢な身体を胸の内へと抱き寄せた。


「!・・・・・・島さん!」


突然の行動に驚いて胸の中でもがき始める君の身体を、優しく封じ込める。
柔らかな金髪にそっと頬を寄せて紡ぎだした言葉は僅かに掠れていた。


「全然可笑しくなんかないさ。・・・・・・・テレサ。俺はそんな風に感じる君を好きになって良かったって、今、改めて強く想う」


掠れていく言葉とは逆に君を抱き締める腕の力は次第に強くなっていく。
言葉に出来ない想いの雫が胸の奥から零れ落ちて止まらない。
君がこうして傍にいてくれる幸せを噛み締めながら、この幸せな時間に今はただ浸りきっていたい。
心から愛する君が紛れもなく、この腕の中にいるという想いに満たされて。


「・・・・・・こんなとき、何て言えばいいのでしょう?幸せって言葉だけでは、到底足りないくらいに嬉し過ぎて・・・・・・」


今にも泣きそうな位に、声を震わせて呟く君の頬がほんのりとピンク色に染まる。
潤みきった碧色の眸が、小刻みに揺れた。


「何も言わなくていい。今はただ、君をこうして抱き締めているだけで僕はもう何一つ望まない。君が傍に居てくれる。それだけが僕のたった一つの生きる支えだから」


眼の前を覆う金色の光の波が腕の中で緩やかに翻って、やがて静かに一つに収束していく。
首筋に巻き付けられた、細い腕の感触が少しずつ強くなっていく。
目尻に浮かぶ大きな雫は、過ぎゆく時間を道連れにしながら、やがて緩やかに頬を伝い落ちていった。

窓から入り込んだ風が、部屋の空気を清らかにしていくのを意識の端で認めながら、君との優しい時間は続いていく。
いつまでも・・・・・・いつまでも。

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