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2010年度版 島&テレサ クリスマス

超超お久し振りの島&テレサの短編です。
以前この二人のクリスマス話をUPしたのは、記憶違いでなかったら・・・・・・確か2005年!?
月日が経つのは早い(泣笑)

相変わらず意味不明な話ですが(汗)、ほんの僅かでもお話の雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。
時期的には、まだテレサが病室で身体を癒している頃くらいです。

よろしかったらどうぞ。

★ボタンをクリックしていただいた方、ありがとうございました!★

しんしんと・・・・・・ただしんしんと降る雪は、オレンジ色の外灯に照らし出されて、天から零れ落ちる天使の羽根を思わせる様にふわりと宙を舞う。
深海の海を漂うマリンスノーのように、真っ黒な闇の海を無数に光り輝いて埋め尽くしながら降り頻る雪は、やがて地の果てへとその儚き命を終わらせる。

沈黙が立ち込める、この幻想的な世界を病室から見下ろす影が二つ。
病室の電気を消して、今宵の闇の饗宴と同化するかのように溶け込んだ二人の間に穏やかな時間が漂う。

「・・・・・・寒くない?」

ベッドの端に二人並んで腰掛けながら窓から階下の景色を覗き込んでいた僕は傍らの彼女を気遣って声を漏らす。

「私は大丈夫です。それより島さんこそ・・・・・・」

背後を振り返り、ベッドから毛布を取ろうとした華奢な手を僕の手がすかさず制す。

「自分のことよりも、真っ先に僕のことを気に掛ける癖は相変わらず変わらないね。だったら・・・・・・」

羽織っていたコートを脱ぎつつ、テレサの小さな肩にそっとコートを羽織らせるその手が震える。


この小さくて細い肩に、いったいどれだけの苦しみ・悲しみ・そして尽きぬこと無き罪悪感をいつも乗せてきたのかを思うと、胸が潰れそうになる。
そしてその一切から逃げることなく、怯まずに立ち向かい続けた彼女の、
壮絶な運命の一端に触れた瞬間から自分の心は既に決まっていたのだ。


君の悲しみ全てを拭い去ることは出来ないけれど、もし僕が君の傍にいられることで、ほんの僅かでも君の生きる支えになれるのであれば・・・・・・


相当な自惚れだとは重々承知している。
彼女にとって自分の存在が、そんな大層なものではないかもしれない危惧も十分ある。
もしかしたら僕の存在自身が、君にとって負担そのものであるかもしれない。

だけど・・・・・・
この哀しみを秘めた眸を見てしまったら・・・・・・
華奢な肩を小さく震わせながら、ただ泣き続けるだけしかない君の姿を見てしまったら・・・・・


自然に動き出した心の眼差しは、ただひたすら君だけを見つめ続けていた。

ずっと・・・・・・ずっと・・・・・・。


「私はもう大丈夫ですから、どうぞ御家族の元に戻ってあげてください。
きっと皆さんが島さんの帰りを心待ちにしてます。それに今日は、家族が一緒で楽しむ日だって・・・・・・」

粉雪が舞うクリスマス・イブ。
まだ身体が癒えない君をこの素敵な夜に病室に独りっきりにさせておくわけにはいかない。
真っ暗な空間にほんのりと小さな心の灯火が灯って、静かな夜の片隅を焦がす。

コートを羽織らせた小さな肩をぐっと抱き寄せながら零した言葉が、白い吐息と混じって時間の谷間に溶け込んでいった。


「今まではそうだったけど、今年のイブからはこの先新しい家族となる人と一緒に過ごすって決めたんだ」


一瞬の沈黙の後、驚いたように身を翻して離れようとする身体を必死に抱き止める。

「ダメ・・・・・。ダメです。そんなに簡単に決めちゃダメッ!!!」

小さな叫びをあげながら、懸命に身を剥がそうと抵抗を試みる身体から強硬な意思が伝わってくる。
その抵抗の源となる力が自分自身の事ではなく、僕の身を案じて放たれる強さであることは明確。
抵抗されるとは解りきっていたことだけれど、こうも強硬に反対する彼女の意思の強さに秘められた僕への愛の深さが胸を締め付ける。


「どうして君はそんなにも自分の想いを遠ざけたがる?僕が何を望んでいるのかは、他の誰よりも君が一番よく分かっているはずなのに!」

僕の腕から逃れて背を向けながら、両手で顔を覆った彼女から啜り泣く声が漏れ落ちて、病室を濡らしていく。

「お願いです、これ以上苦しめないで下さい。・・・・・・島さんを愛しているから、私は貴方の迷惑になってはいけないと・・・・・・」

乱れた金髪がサラサラと零れて、彼女の全身を覆う。
まるで哀しみのベールに包み込まれたような佇まいで泣き声を漏らし続ける彼女を、今までの僕だったらそのまま見ているだけのはずだった。

だけど違う!
それも今日限りで終止符を打つときが来た。


一回だけ小さく深呼吸すると、まだ泣き崩れたままの彼女の顔近くにそっと自らの顔を寄せて、コート越しからその細い両肩に手を置いた。


「お互い、もう自分の心に嘘をつくのは止そう。僕には君が必要で、君にも僕が必要だ。これ以上でもなく、これ以下でもない。僕達はずっとお互いに遠慮し続けて、自分の気持に蓋を閉めたままだったんだ」

ビクンと一回だけ小さく震えた肩から、次第に全身へと波及していく強い意識の塊。
それは徐々に彼女の全身に伝わって、少しずつ変化していく兆候が目に見えて分かる。
でもまだ最後の最後まで抗い続けている心が、全てを手放すのにブレーキを掛けていた。
決意を込めて、最後の突破口を破る言葉を沈黙の闇へと放とうとする僕に、天上から舞い降りる天使の羽根が勇気を与えてくれた。


「苦しいことも哀しいことも、これからは君ひとりじゃない。いつもいつでも君の傍に僕がいることを忘れないでほしい」


きっと彼女はまだ揺れ続けているに違いない。
だけどもう、分かっているはず。
自分がどうしたいのかを。
だから僕は・・・・・・


「急に答えを出せない君の気持は痛いほど分かってる。現に僕がそうだったから。今すぐに答えはいらない。だけどせめて今夜だけは・・・・・・君の傍にいさせてほしい」


肩に置いた手をぐっと手繰り寄せて、俯いたままの彼女の顔に掛かる柔らかな髪の毛を指先で優しく掻き分けながら、その小さな額にそっと唇を寄せた。


「・・・・・・メリー・クリスマス。君の幸せだけを僕はずっと祈り続けてる」


時折強く舞い飛ぶ雪の明るさが目に染みる。
君と二人で病室で迎えたクリスマス・イブ。
僕のシャツを握る君の手にその時力が込められていたのは、まだ知る由もない僕だった。

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